アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は「良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な病変とする病気」と定義されます。
遺伝的な体質(アトピー素因、皮膚のバリア機能が弱い)に様々な刺激(皮膚をこすったり引っ掻いたりする行為、汗、石鹸、化粧品、紫外線など)、およびアレルギーを起こす物質などの環境(ダニ、カビ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛など)による要因や精神的な要因(ストレス、過労、睡眠不足など)が絡み合って発症すると考えられています。
乳児では2ヶ月以上、幼小児、成人では6ヶ月以上症状が続くとアトピー性皮膚炎と診断されます。
アトピー治療の3原則
1:スキンケア、適度の清潔を保つ
- 通常は1日1回の入浴、シャワーを浴びる
- 温まるとかゆみが増すことがあるので、湯船のお湯は熱くしすぎない
- 夏場や汗をかいた後はそのまま放置しない、ぬれたタオルで優しく拭き取る
- 石鹸は肌にあったものを選び、泡立てて手のひらで洗い、よく洗い流す
- 室内は清潔に保ち、適温適湿の環境を作る
- 刺激の少ない衣類を着用する
- 爪は短く切り、掻き壊しによる皮膚障害を避ける
- 入浴後は汗がひいたら早めに(5分位で)保湿剤を塗りましょう
2:薬による治療
<塗り薬>
- ステロイド外用薬
- 炎症を抑える作用があります。薬の強さは5段階あり、症状にあった強さの薬を選びます。副作用が怖いからといって、十分な量を塗らないと湿疹が改善せず、結果として使用が長期に及んでしまうこともありますので、使用量を守りましょう。
毎日1日2回の頻度で塗り、塗る量の目安は1FTU(finger tip unit:人差し指第1関節まで押し出した量)で、成人の手のひら2枚分の面積としてください。
皮膚の発疹の改善とともに、徐々に強さを弱める、または塗る回数を減らしていき、症状がひどくならないかどうかを確認しながらやめていきます。
時に局所的副作用(ニキビ、血管拡張、赤み、皮膚が薄くなる、毛深くなる、感染症)が起きることがあります。
必ず皮膚科専門医の指導のもとでの治療を行なってください。 - 免疫抑制剤外用薬
- 長期間使用しても副作用がないというメリットがあり、特に顔や首の皮膚の発疹には高い適応があります。
<飲み薬>
- 抗ヒスタミン薬
- 抗アレルギー薬:補助的にかゆみを抑えます。
- ステロイド内服、免疫抑制剤内服
- 他の治療での効果がよくない患者さんに使用する場合がありますが、短期投与にとどめる必要があります。
3:悪化因子の検索ならびに対策
乳児のアトピーでは、食物アレルギーが関わっている可能性があります。
血液検査の結果を元にして、可能なものは除去や隔離を行う必要がありますが、アトピー性皮膚炎は様々な因子の関与があるため、それだけで完治が期待されるものではありません。
治療の目標
アトピー性皮膚炎は、遺伝的体質が大きく関わっているため、今の医学でも体質を変えることは残念ながらできません。だからといって「アトピーは治らない、治療しても無駄…」と諦めないでください。
症状にあわせ、薬を調節していき、落ち着いたら、徐々に副作用のない薬や保湿剤での治療に変え、うまくコントロールし日常生活に支障きたすことなく過ごせるまでにする。それがアトピー性皮膚炎の治療の目指すところと思います。
市川市本八幡のふじた皮膚科クリニックでは、女性医師が丁寧に診察します。シミやワキ汗、巻き爪、アトピー、ニキビ、イボ、じんましんなどお肌の病気からお悩みまでお気軽にご相談ください。